鉄粉で線香花火

初めに

線香花火を作ってみたい…
そう思ったのはセミの音が聞こえる7月の熱帯夜だった。
夏といえば祭り、海、山、いろいろあるが、私は花火が心に残っている。
花火と一口に言っても、大玉の花火やロケット花火、ネズミ花火といろいろある。
だが、私は線香花火が好きだ。
線香花火の静かな火花。
それは哀愁に溢れている。
そんなところを見ると、私の目には涙が。

材料・工程

鉄粉、薬包紙、ガスバーナー。
これらの材料だけで出来る。
「だけ」でだ。
何でこれだけの材料で出来るのに、これまで作って来なかったのだろう…
そんなことを思うと、自分の知識の浅さに気付く。
薬包紙に鉄粉を包み、それをガスバーナーに近づける。
鉄粉を包んだ薬包紙は、すでに線香花火であった。

結果

火花が舞い散る。
ガスバーナーという名のステージで。
鉄粉の量によって、舞い散る火花の量が変わる。
火花は線香花火にとって、一番に必要とするものであろう。
しかし、多すぎるのもよくない。
舞い切った鉄粉らが机上に多く飛び散ってしまうからだ。
掃除が大変だ。
舞台上で自信を失ってしまった主役の役者のようにだ。
脇役はこういう気持ちなのかもしれない。

感想

私はこの実験に、どこか懐かしさを感じていた。
線香花火を見つめていると、昔の記憶が蘇る。
祖父母と縁側で見つめていた線香花火。
黒い闇に一光の紅。
パチパチと鳴る火花。
私の目に映っていた線香花火には、過去の想い出が溢れかえっていた

そんなことを思った熱帯夜。
私の額にはムシムシとした雫が零れていた。

実験班 の最新記事