全天周映像投影システムLSS製作日記No.1
愛知県立豊明高等学校、天文科学部の部長です。
今回から複数回にわたり、「全天周映像投影システムLSS」について、顧問の先生に教えてもらいながら、勉強した内容を記事にまとめていきます。
最初に、私たち天文科学部の紹介をします。
天文科学部は、日ごろから”天文”と冠があるように、天体観測をメインに実験やプログラミングなど、自由に何でもやる部活です。
2021年度の文化祭では、「段ボール材の多面体ドームの製作と自作プラネタリウムの上映展示」を行いました。
概要を簡単にまとめると、
(1)段ボール材でできた直径5mの半球ドームを制作した。
(2)プロジェクターと球面鏡を使って、鏡面反射でドーム内に映像を投影した。
(3)ドーム内でのプラネタリウム映像を自作し、それを上映した。
という内容でした。
詳しくは、愛知県高文連自然科学専門部主催「第36回研究発表会」に論文と動画が公開されています。
http://kbrs.web.fc2.com/kenkyu.htm
文化祭での生徒の反応は上々でしたので、学校外を出て、豊明市立図書館にて地域の人々にも見ていただけるようなイベントも開催しました。サイズも大きくて、見ごたえのある展示だったので、大盛況のうち終わることができました。
さて、今年も文化祭の時期が近づいてきました。2022年度は、昨年度の成果を引き継ぎ、今年度はドーム内での映像の投影方法について重点的に改良していきたいと考えています。
現在の「球面鏡を使った投影方法」には、以下のような問題があります。
(1)天周範囲の角度が142°が最大であり、全天周(180°以上)ではない。
(2)映像の末端部にいくにつれ焦点が合わなくなり、映像がぼやけてしまう。
(3)天頂に映像中心を合わせると、方位角・高度の両方ともずれてしまい、傾いた映像になる。
(4)球面鏡が割れてしまった。
という有り様で、プラネタリウムっぽい雰囲気だけは楽しめますが、映像はぼやけたり・斜めにズレたりするので、星々の輝きや文字がかすんだりするという、クオリティは残念なものとなってしまいました。
その結果、最終的には矩形の映像をドーム内部に映す、ただのドーム型シアターになってしまいました。
そこで、もっと本格的なプラネタリウムが、安価に出来ないのかと考えました。それらを顧問の先生と相談し、LSSという全天周映像投影システムがあることを教えてもらいました。
http://www.lss-planetariums.info/
LSS(Lhoumeau Sky-System)を一言でいうと、低価格で小~中型のデジタルプラネタリウムが作れる、フランス発のオープンソースプロジェクトです。
低価格っていくらぐらいだろう…?
私たち天文科学部は年間の部活動費がたった7万円しかない極貧の部活動です。今までもお金がないなか、工夫と努力で乗り越えていきました。今回も相変わらずの逆境のなか、LSSの製作に挑戦してみます。
しかし、さすがに7万円では、部品(魚眼レンズ)1つだけしか買えないらしいです。そこで、顧問の先生が「愛知県高等学校文化連盟部活動研究助成事業」に申し込みをしてくれました。この応募があたれば、追加で5万円ゲットできます。
それでも足りない金額分は、”顧問の先生のポケットマネーから出してくれる”という言質もとりました。
予算の見込みもできたので、LSSについて本格的に計画していきます。
次回は、LSSの基本構成について、学んだことを記事にします。お楽しみに!